WRO2019ハンガリー国際大会リポート(6)レギュラー3日目

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旅の4日目は、いよいよ競技最終日。2日目の本番走行は今年から新たに採用された「2nd Day Challenge」とよばれる競技を行います。競技コート、ロボットはそのまま(改造しても良いが実際はその必要はなし)で、3つの課題が出されます。実は8月にデンマークで開催されたWROのフレンドシップ大会というものがあり、その時にテスト運用されていたものです。

一つひとつの課題はオブジェクトの運搬をするだけですが、いつもとは異なる場所に異なる色が置かれているなどです。基本的には今あるプログラムを並べ替えて調整すればできる程度の内容です。調整時間は90分、60分、60分が連続にあり、その区切りの中で調整を行いながら、自分達の好きなタイミングで審判にコールをして、本番を行うという少し変わったルールとなっています。その場で出された課題をクリアできるプログラムを作らなければならないので、選手の本来の実力が試されます。

上位チームは5分もすればだいたいの形ができて、15分後には満点をとれる状態になっていました。実際台湾チームのコーチは内容が簡単すぎてこれでは逆転ができないとぼやいていたそうです(昨日の1、2位はタイのチーム)。WROで優勝する、そのためだけに普段から活動している彼らとは正直なところ我々は次元が異なるのです。悔しいですがそれが私達の現実です。

満点をとって少しでも順位を上げたい、それが今の目標。二人は少しずつですがプログラムを完成に近づけています。動きは確実性を重視してゆっくりですが、本当に少しずつ満点に近づいています。最後の最後の調整走行で一度満点を取れましたが、もうタイムリミットが来てしまいました。時間内に審判にコールすれば本番走行はできますが、本当にギリギリのタイミングでした。

そして本番走行。一つずつオブジェクトを処理していくロボットを緊張しながら見守ります。最後のオブジェクトを置き終わったとき、1月からスタートした今年のWROの活動、兵庫予選会に向けて、Japan決勝大会に向けて、そしてこの国際大会に向けて日々努力してきたことの全てが報われる瞬間でした。

結果は見事満点を獲得!最終順位も14位と、昨日の18位から順位を上げることができました。総合の満点は今日の満点の150点を合わせると355点ですが、初日のサプライズ分の5点が不足しているので350点でした。350点のチームの中では2番手です。8位以内の入賞の目標は達成できませんでしたが、参加99チームの中での14位ですから大健闘です。

全ての競技が終了し、残すは閉会式。各カテゴリーごとに表彰が行われます。順位が発表される瞬間は会場内のいたるところで歓声が起こり、国旗がなびきます。国によってWROに対する姿勢は様々だと思います。ナショナルチームとして国をあげて作り上げてきているところもあれば、選手個々のチカラだけにゆだねている国もあります。

しかし、自国のチームが発表されるたびに国旗を振って自国の名前を叫ぶその光景を見て、ここはまさしく国と国が競い合うオリンピックの舞台なんだとあらためて思い知らされました。まだまだ私達はその舞台にほんの少し足を踏み入れただけにすぎなかったのです。

本気で世界のトップを目指す為には、これからやるべきことがたくさんあります。私達が一歩進んでいるときに、世界のトップは二歩も三歩も進むかもしれません。しかし目標を持って日々努力することは、結果が出なかったとしても何も無駄なことではありません。この大会でも子ども達は本当に貴重な経験をたくさん積むことができました。それはきっと一生の財産になってくれると信じています。

コーチである私自身ももしかすると今後の人生を左右するかもしれない、そんな経験をすることができました。いつかあの表彰台に上れることを目指して、また子ども達と一緒に歩んでいこうと思います。

最後に、子ども達を支えてくださり、この長旅にも同行していただいたご家族の方、現地で我々を支えてくださったWRO Japanと阪急交通社のスタッフ、そしてこの大きな規模の大会を滞りなく運営してくださったハンガリーの方々には本当に感謝をしています。

明日はウィーンで観光だ!