
「プログラミング学習って何の役に立つの?」この疑問に答えるため、これまでにも、情報教育の拡充やロボットプログラミングをキーワードに解説してきました。
過去の記事はこちら→「今さら聞けない?!プログラミング教育の今とこれから」
しかし、「生成AIがコードを書いてくれるのだから、プログラミングスキルはもう不要なのでは?」本当にそうでしょうか?
答えは「いいえ」です。教育の中で今もプログラミングが重視されているのには、はっきりとした理由があります。それは、プログラミング活動が、論理的に考える力の育成に効果があるためです。
ポイントは、「コンピュータを動かすつもり」で考えることです。
この記事では、プログラミングと考える力の関係について解説していきます。
目次
1.プログラミングで育つ「考える力」とは?
2.なぜ「コンピュータを動かすつもり」で考えるとよいの?
3.論理的思考を育む手段としてのプログラミング
プログラミングで育つ「考える力」とは?
プログラミング学習で身につくのは、特別な専門知識ではなく、物事を整理して考えるための基本的な力です。それは、プログラミング学習が「コードを書く技術」ではなく、「考え方そのもの」を学ぶ学習だからです。
これらの思考力は、日本ではプログラミング的思考、海外ではより広い概念としてコンピューテショナル・シンキング(Conputational Thinking)とも呼ばれています。
代表的なものとして、次のような力があります。
【1】順序立てて考える力:「何をどの順番でやるか」を整理する

【2】条件を考える力:「もし〜ならどうする?」と考える

【3】物事を抽象化して考える力:共通する部分を取り出して、シンプルに捉える

これらの力は、計画を立てたり、算数や国語の問題を解いたり、物事を説明したりといった、様々な場面で必要となります。何かを考えるための土台となるスキルと言えるでしょう。複雑な課題に直面しても、自ら考えて解決していくことができるようになります。反対に、この力がないと、「丸暗記する」「言われた通りやる」だけになってしまう恐れがあります。
なぜ「コンピュータを動かすつもり」で考えるとよいの?
プログラミングの最大の特徴は、「あいまいなままでは通用しない」こと。
〇はっきり伝えないと動かない:だから、自然と“わかりやすく伝える力”が身につく
〇順序や条件を丁寧に考える必要がある:だから、考えを“整理する力”が育つ

コンピュータは、人の意図を推測して動くことができません。そのため、「何を」「どの順番で」「どんな条件のときに」行うのかを、自分の中で整理し、明確にする必要があります。
このように、コンピュータを動かす前提で考える経験が、物事を筋道立てて考える力につながっていきます。経験を積むことで、しだいにプログラミング以外の場面でも論理的に考えて説明したり、問題解決できたりするようになるのです。
このように、ある場面での学びが他の場面でも活用できるようになることを学びの「転移」といいます。プログラミング教育には論理的思考力一般への一定の転移効果があることが研究で明らかになっています。
論理的思考を育む手段としてのプログラミング
論理的に考える力を育てるためには、文章を書く、算数の問題を解く、などさまざまな方法があります。プログラミングもそれらの方法のひとつです。

ただ、文章や算数と少し違うのは、プログラミングの場合、実行すると、すぐにコンピューターからのフィードバックがあるところです。これにより、たとえ先生がいなかったとしても、プログラミングをすることそのものが思考力を鍛える訓練になるのです。
そう考えると、プログラミングって効率的な学び方かも・・・と思えてきませんか?
最近だと、楽しくプログラミングを体験できる教材が充実していますので、ぜひ身近なところから触れてみてください。

<参考文献>
林 向達. 2023. 「プログラミングを視座とする思考力の育成を考える」 『学びを育む 教育の方法・技術とICT活用:教育工学と教育心理学のコラボレーション』
Wing, J. (2006). Computational thinking.
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