「女の子はプログラミングが苦手」は本当?

「プログラミングって、男の子が得意そう」「うちは文系に進学するからプログラミング経験は必要ない」「プログラマーになる予定がなければプログラミングは勉強しなくて大丈夫」——それって本当でしょうか?

どれも大きな誤解です。

誤解1:プログラミングは男の子の方が得意

→プログラミングスキルに男女差はほとんどなく、男の子の方が向いているという事実はありません。

誤解2:文系に進めばプログラミングは必要ない

→文系の学部でも、教育学部・経済学部・社会学部などを中心に、授業や研究活動でプログラミングが必要になる機会は多くあります。

誤解3:プログラマー以外はプログラミング経験は不要

→むしろ、いわゆる事務職のようなオフィスワーカーにこそ必要な場面が増えていっています。

この記事では、上記のようなよくある誤解をといていくとともに「では、どういう子に向いているのか?」についても解説していきます。

目次

1. 「女の子はプログラミングが苦手」は大人の思い込み

2. 文系学生もプログラミング、使います!

3. オフィスワーカーはプログラミングを学んで損なし

4. プログラミングが向いているのはどんな子?

1. 「女の子はプログラミングが苦手」は大人の思い込み

「男の子のほうがプログラミングが得意」——そんな声を聞いたことはありませんか? しかし、実際の研究では、男女間で顕著なスキルの差は確認されていません。

それでも、女の子の方が「自分には向いていないかも」「失敗したら恥ずかしい」と感じやすい傾向があるのは事実です。その背景には、理系分野に対する無意識のジェンダーステレオタイプや、大人の声かけ、体験の機会の違いがあります。

子ども自身の興味や能力よりも、周囲の環境がその芽をつぶしてしまうのはとても残念なことです。「試しにやってみたら意外とできた」「思ったより楽しいかも」——そんなポジティブな最初の一歩が、興味を広げるきっかけになります。

2. 文系学生もプログラミング、使います!

「うちの子は文系志望だから、プログラミングは必要ない」という声もありますが、実は大学の文系学部でもプログラミングが必要な専攻がたくさんあります。

たとえば教育学部や経済学部、社会学部では、アンケート調査やフィールドワークを通じて集めたデータを分析する機会がよくあります。その際に活用されるのが、RやPythonといったプログラミング言語です。これらのスキルがあることで、研究の幅や深さが広がり、説得力のある成果を出すことができます。

統計ソフトR(アール)の画面イメージ(Wikipediaより)

「文系だからプログラミングは関係ない」と考えていたばかりに、大学に入ってから予想外の課題に直面する学生も少なくありません。

また近年では、文理を問わず受講できる「データサイエンス講座」も多くの大学で開講されています。学部を超えてプログラミングやデータ活用を学ぶ場が広がっているのです。

さらに、アート系の学科では、光や音、動きを取り入れたインタラクティブ・アート作品を制作することもあります。参加者が楽しめる体験型の表現をつくるには、プログラミングを含むデジタルツールの活用が欠かせません。こうした分野でも、技術が“創造力の翼”になるのです。

鑑賞者の動作によって作品が変化するインタラクティブアートにはプログラミングが必要なこともあります

3. オフィスワーカーはプログラミングを学んで損なし

将来、プログラマーにならなくても、プログラミングスキルは大きな強みになります。

仕事をするうえで、業務を効率化したり、便利にしたりといった工夫は今や欠かせないものとなっています。最近では、専門的なコードを書かずにアプリや自動化ツールを作れる「ノーコード」や「ローコード」と呼ばれるツールの活用が広がっています。また、生成AIを活用して資料作成やデータ処理を効率化するケースも増えています。

プログラミングの文法知識がなくても使えるのがノーコード、ローコードと呼ばれるツールです

こうしたツールを使いこなすためには、コンピューターがどのように動いているのか、プログラムがどのような流れで処理を進めているのかをイメージできる力が必要になります。つまり、「コードを書くスキル」だけでなく、「プログラミング的な考え方」や「デジタルツールを使いこなす素地」が重要なのです。

さらに、エクセルの作業をVBAで効率化したり、売上データをPythonでグラフ化したりといった活用例は、日常の業務の中でも数多く見られます。

これらのスキルは、どのような業界に進んでも必ず活用できます。

4. プログラミングが向いているのはどんな子?

ここまで、プログラミングは理系・男性の世界という誤解を解きつつ、なぜプログラミングを学ぶ必要があるのかを解説してきました。

ですが、ここまではあくまで「将来の話」。今の子どもたちのことを考えるとき、プログラミングが向いているのはどういう子なのでしょうか?

それはずばり「表現したいことがある子」「何かをつくるのが好きな子」です。

たとえば、ブロックで生きものや乗り物を作ったり、人形でごっこ遊びをしたりするのが好きな子は、生きものや乗り物、物語をプログラムで動かす経験をすると、ワクワクして取り組むことができます。

また、自分の調べたことをみんなの前で発表するのが好きな子は、調べ学習や解決策にプログラミングを使うことができると、より本格的に取り組めて楽しさも倍増します。

学んでいくにつれて、

自分の考えた物語をもとにゲームをつくる

自分の好きな色や動きでアート作品をつくる

地域の課題を解決するアプリを設計する

といったこともできるようになります。

プログラミングというと、パソコンやロボットが好きな「メカニック好き」な子や、「ロジカルに考える傾向のある子」のものと思われるかもしれませんが、それもまた一つの誤解といえるでしょう。実際には、様々な表現の幅を広げるツールであり、理想の世界を表現する手段なのです。

おわりに

プログラミングは、決して「男の子だけのもの」でも、「理系に進む子だけに必要なもの」でもありません。
それは、考えたことや感じたことを形にするための、ひとつの表現の道具です。

もしお子さんが、
「みてみて!これつくったの!」と楽しそうに話していたり、絵や物語、ものづくりに夢中になっていたりすれば、それはプログラミングを楽しめるサインかもしれません。

向いているかどうかは、最初から判断する必要はありません。
大切なのは、「できる・できない」ではなく、実際に触れてみて、楽しいかどうかを感じることです。

まずは、遊びや表現の延長として、気軽に体験してみてください。
プログラミングが、新しい「好き」や「得意」を見つけるきっかけになるかもしれません。

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参考文献

Hu, L. (2024). Exploring Gender Differences in Computational Thinking among K-12 Students: A Meta-analysis. SAGE Journals.

小田道代ほか (2023). Gender Differences in Programming Among Primary School Students in Japan. IIAI Letters.

Allaire-Duquette, G. et al. (2022). Gender Differences in Self-efficacy for Programming. PMC.

Vrieler, V. et al. (2021). Gendered Views in CS Clubs. Taylor & Francis.

Lawlor, G. (2025). Girls and Computer Science Outreach. ACM Digital Library.

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン「プログラミング必修化前最後の世代・文系大学生への調査から見えてきたプログラミングへのコンプレックス」