2024年11月28日~30日にトルコで開催されたWRO※の国際大会「WRO2024国際大会」に、プログラボから地方予選、Japan決勝大会を勝ち抜き日本代表として選抜された3チームが参加しました。
※WRO=World Robot Olympiadは世界最大級の国際ロボット競技会で、子どもたちの創造力と問題解決力の育成を目的に毎年世界各地で開催されています。今年はトルコ共和国イズミルで開催され、世界の国と地域から約600チームが参加しました。日本からは計14チームが出場し、プログラボから3チームが参加しました。
プログラボとしては、2019年ハンガリー大会、2022年ドイツ大会、2023年パナマ大会に続き、4度目のWRO国際大会への出場です。
<派遣チーム>
・Robo Misson競技 Elementary部門:I&S2(プログラボ上本町)
・Robo Sports 競技(年齢区分なし):夙川第三世代(プログラボ夙川)
・Robo Sports 競技(年齢区分なし):S・T(プログラボ月島)
会場はトルコのイズミル。時差は6時間で去年のパナマに比べると日本からは行きやすい国ですね。通貨はTL(トルコリラ)で、換金所によって手数料もレートも異なりますが、1TL=5~8円程度です。
■出国
当日、出国準備を終えて夜22時30分に遂にフライト!13時間を飛行機内で過ごします。
機内泊はなかなか慣れない選手も多かったようですが機内食は好評でした。

イズミル到着後、入国審査では大きな問題はなくとりあえずホテルへ向かうことに。ただ大会運営側で手配いただいていたバスが到着しないトラブルがありタクシーでの移動となりました。
今回泊まったホテル『カヤイズミルサーマル&コンベンション』はイズミルの中でも郊外に位置しており、想像していたトルコとは少し違っていました。
トルコは国民の99%がイスラム教を信仰しており、イスラム教が猫を愛する文化があるため、住宅街では野良猫用の餌や飲み水がそこら中に設置されていました。他にも羊の群れや大型の野良犬が道端で日向ぼっこをしている等、あまり日本では見られない光景に驚きました。

また、トルコは紅茶(チャイ)の年間消費量が世界で第1位だそうで、飲み放題の紅茶が美味しい!ホテルのレストランの食事もとても美味しく、個人的には鶏肉が多かったのが嬉しかったポイントです。
2日目はいよいよ競技初日です!
■2日目 競技初日
この日は競技の練習とオープニングセレモニーがあります。朝、ホテルのロビーでは、日本チームで集まり大会へ向けた激励会を行いました。
異国の地で日本の国内大会とはまったく違った雰囲気の中、会場の大きさにも驚き、大会の雰囲気に飲まれてしまいそうですが、選手達も少しずつ慣れてきているようです。
遂に大会が始まるという気持ちも高まります。

会場内での運営スタッフの方とのやり取りは全て英語のため、言葉だけではなかなか伝わらないことも多いですが、ジェスチャーも使いながらコミュニケーションをとりました。
競技コートを使っての練習中には、各コートでコースシートごとの微妙な差異や整備が不十分なコートもありましたが、選手たちは自分たちのベストが発揮できるよう何度も調整を繰り返していました。
ジャッジの方も選手たちに寄り添ってくれたので、見ていて安心しました。
ちなみにコーチミーティングもこの日に行われたのですが、ここでも国内予選会とは雰囲気が異なり、チーフジャッジの熱い想いがこもった言葉に対して、コーチたちから拍手喝采が起こったのも国際大会らしいなと感じました。
中でも「子ども達に”経験”を与えてあげてください。」という言葉が印象的でした。

この日はオープニングセレモニーも開催され、国際色豊かなダンスが披露され、会場も大賑わいでした。
2日目が終わり、いよいよ明日から競技本番です!
■3日目 競技2日目
長い1日が始まります。
朝、Robo Misson競技エリアではサプライズミッション(※)が発表されます。
※サプライズミッションとは、公式に発表されていたルールに追加されるミッションのことで、選手達はその場でミッションを攻略するためにロボットやプログラミングに変更を加える必要があります。
もちろん全て英語で書かれていることもあって、ルール発表後にコーチと翻訳の時間が設けられます。
ただ、ミッションの説明が書かれたプリントには、ミッション内容が図や矢印を用いて分かりやすく明記されており、英語が読めなくてもある程度理解できるようになっていました。

国によってレベルの違いはありましたが、高得点をとるための作戦はどのチームも似たようなところが多かった印象です。
午前の調整が終わった後は、選手、コーチそれぞれで昼食をとります。
昨日オープニングセレモニーが開催された隣に、多くのチームが昼食をとれるスペースがあり、選手やコーチ、応援者は運営から配布された引換券と食事を交換することができます。
ただ、全チームとその関係者が食べるにはスペースが足りないので、自分たちで用意している国やチームもありました。屋台などを利用して食事をとることも可能です。
昼食も終わり、競技時間の中盤に差し掛かったころ、とある国のチームの選手たちが練習会場から姿を消していました。。
なにやら、とある国の代表3チームが全く同じロボット、同じプログラミングで動いていることが判明し、大会運営側と協議がなされたようです。協議の結果、ペナルティとして点数が半分になっていました。
これはWROの共通ルールで、類似したロボットは自分たちのオリジナリティで作成したものとみなされない場合があるためです。WROは、子ども達の創造性と問題解決力を育成することを目的に開催されているため、協議がなされたようです。
普段のプログラボの教室では子ども達が主となってロボットやプログラミングを制作しており、チームごとのオリジナリティが自然と出ているため、、国際大会という大きな舞台でこういったことが起こったのは意外でした。
ただ、国際大会の前に開催された東京での強化合宿でも、I&S2が他の代表チームが採用していた、より効率的に動作する機構に変更したこともあり、やはり一緒に練習する機会が多ければ多いほど、最もミッションに最適化されたロボットに似ていくものなのかもしれません。もちろん見た目をまねたからと言って、同じように制御できるものではないので、他チームの良い点を取り入れながら自分たちのチカラに変えていくことが大事です。
一方、Robo Sports競技では、夙川校から出場している「夙川第三世代」がリーグ1位で予選を突破していました!Robo Sports競技はRobo Misson競技とは異なり対戦式の内容になっているため、自分たちの実力だけで決まるものでもなく、ロボットの相性やちょっとしたタイミングによって勝敗がガラッと変わってしまいます。

競技以外で目についたものとして、会場内では各国ならでは光景が見られることが多くあり、中でもサウジアラビアのアラビア語による応援がとても壮大で、どの部門でも声が響き渡っていました。
WROではコーチや家族による競技中のアドバイスが禁止されています。あまりに声援が大きいためジャッジから「(アラビア語だとコーチによるアドバイスか判断できないので)せめて英語で応援してほしい」と注意があるなど、国際大会ならではの光景が見られました。
この日は、どのチームも長時間の競技の中でロボットやパソコンのトラブルもなく、無事に終了しました。
その後、夕食を終えてからゆっくり休む間もなく、他国のチームと交流が行えるフレンドシップナイトが始まります。

上本町校のI&S2チームは教室で他の生徒が折ってくれた折り紙や、チームでデザインした缶バッジを交換していました。
交換プレゼントはお菓子が多かったですが、中には硬貨や紙幣、工芸品などもあり、ここでも国際色豊かな光景が見られました。
あまりに人が多く、1時間の間に右往左往しながらの交流となり、最初はせっかくここまできたのだからもう少しお互いに言葉を交わす機会があってもいいかなと感じましたが、あまり余裕はなかったのが心残りです。

■4日目 競技最終日
遂に競技最終日、Robo Misson競技競技ではエクストラチャレンジ(※)が行われます。
※エクストラチャレンジは公式に発表されていたルールと異なり、当日発表されるミッションのことです。ロボットが移動するルートなども変わるため、チームの対応力が試されます。
エクストラチャレンジの点数は競技1日目のほぼ2倍なので、1日目にうまくいかなかったチームにも逆転のチャンスがあります。
エクストラチャレンジを予想してプログラムを組んでくるチームもあるようですが、選手の臨機応変に対応できる力を見るためのものですので、予想していたものが的中してクリア!というものでは無いと考えています。
1回目のエクストラチャレンジではある程度の点数を獲得することができ、いよいよ最後のチャレンジへ。(この時点で101チーム中39位)
2回目の競技では1回目では出なかったミスが発生し、ロボットがコートやブロックの色を識別するカラーセンサーが、コート上のラインを捉えられず高得点とはいきませんでした。
結果、I&S2は55位でフィニッシュ。
Robo Sportsではプログラボから出場した2チーム共に、32チームで行われる決勝トーナメントに進出しました。月島校のチームS・Tはロボットのトラブルもあり惜しくも1回戦で敗退、夙川校のチーム夙川第3世代は1回戦には勝利したものの2回戦で敗退し、ベスト16位という結果になりました。
どのチームも最後まであきらめずに頑張りました。お疲れさまでした!またぜひ来年以降も挑戦してほしいです。

会場では競技以外にも様々なブースが出展されており、選手たちはゆっくり見て回る時間もなかったですが、
レゴ社以外の企業のロボットなどもあり面白いものも多かったです。
閉会式でも開会式のように壮大なセレモニーのあと、結果発表が行われました。

各国が次々と表彰され…最後のRobo Misson競技のシニア(高校生)部門では、日本チームが3位と1位に輝き、世界1位を目にした瞬間でした!
最後の最後で日本が表彰されたのはとても嬉しかったです。日本チーム選手団も大盛り上がりでした。
全体の結果はこちらです。
https://scoring.wro-association.org/en/event/scoring/182
ツアー最終日はオプショナルツアーで色々な観光地をまわり、そのまま帰国…。
帰りの便は深夜の24時にフライトしたので特に小学生チームはフラフラでした。
選手もコーチも疲れて何とか眠りについた朝5時頃に、キャビンアテンダントさんが朝食をゴロゴロと持ってきたのは辛かったです(笑)
▼国際大会を終えて…
参加国によるレベルの違いは当然ありましたが頑張れば何とかなりそう!という場面も多く、今回は目標としていた順位には届きませんでしたが、遠すぎる目標というものでもありませんでした。
英語ができなくてどうしよう!となってもジェスチャーや伝える意思をもってコミュニケーションをすることで何とかなりました。
言語の壁は厚いですが、それ以上に人と人との温かさに触れる機会が多かったです。
子ども達は言葉にはしませんが、大人が感じる以上の体験ができたと思います。
そしてもちろん競技会ですので結果がついてくるものではありますが、やはり何と言ってもこれまでの1年間の頑張りが子ども達を成長させてくれたと実感できています。
次回も出場できるか分かりませんが、新しい”経験”のためにも頑張って欲しいと思います。