WRO2019ハンガリー国際大会リポート(4)レギュラー2日目

旅の3日目は競技本番の初日です。昨日と同じように会場入りした後は、初めにサプライズルールの発表がありました。この時、5分間だけコーチが選手と接触できる時間があります。会場ではルール説明や会話などは基本的に英語で行われるため、選手に通訳をするための時間です。

初日の内容は、調整時間が60分で1回目の走行、45分で2回目の走行、45分で3回目の走行という流れで本番走行が進んでいきます。調整時間が短いこともあってかサプライズルール自体はそれほど難しい内容ではありませんでした。(黒いオブジェクトを1つ本来とは別の場所に置く)

まずは今日のコンディションに合わせて基本動作の微調整をしサプライズに挑む作戦でしたが、その基本動作が全く定まりません。1つのコースには8チームがいますので、調整走行の時間もなかなか回ってきません。全く点数をとれない状態で調整時間は過ぎていき、1回目の競技は0点で終了。どんなに調子が悪くてもここまでの状態は未経験です。

2回目の調整時間もまったく状態が変わらないまま結局本番も0点の結果に。 後で聞いたことですが、本体の調子がおかしくなり交換した後に、カラーセンサーのキャリブレーション(反射光の調整)をミスってしまっていたとのことでした。初めての国際大会での緊張、他国の選手から受けるプレッシャー、過ぎていく時間のあせり、旅の疲れ、様々な要因が重なって単純なミスを起こしてしまいます。

3回目の調整時間でようやく本来の動きを取り戻し、時間ぎりぎりでなんとか満点をとれそうなぐらいまで調整できました。ここで悪くともサプライズ抜きの満点をとっておかないと、上位入賞を目指すことは不可能になってしまいます。不安を残したままでの最後の本番走行。タイムはベストではなかったですが、なんとかサプライズ無しの満点の200点を獲得し、初日は18位の順位でフィニッシュとなりました。(サプライズ込みでは205点が満点)

ここまで来て自分達の実力を出せないまま終わることほどつらいことはありませんが、なんとか明日へとつなぐことができました。選手同士でお互いの健闘をたたえ合ったり、それを見守るコーチの間でもお互いのチームについて話をしたりする雰囲気にもなり、ようやく国際大会を心から楽しめるようになってきました。

実は3回目の競技までの合間に1時間ほど空き時間があったので、私も気分転換にオープン競技や同じ会場に出ているブースを見て回ったりしていました。国内でもレゴのイベントでよくある白いブロックのみを使って組み立てをできるブースがあったので、久しぶりにちょっと組み立てを楽しんだりしていました。

実際コーチにできることは多くありません。こちらが不安な表情ばかりを浮かべていたら彼らも不安になってしまいます。大丈夫、できるという意思を伝えられるよう、笑顔とジェスチャーで見守るだけです。そしてベストの状態でチャレンジできるように、体調面や精神面を整えてあげることです。そのためにはまずコーチ自身が彼らをサポートできる状態でなければなりません。

審判や各国とのコーチ、イベントブースでの会話は全て英語です。私も英語は得意ではありませんが、ちょっと話せる程度の会話をしてコミュニケーションをとることだけでも交流をできる楽しさがあります。今回それを改めて痛感し、もっと英語を話せるようになっておこうと思いましたし、選手も英語を話せないと、審判からの説明を正しく聞いたり、疑問に感じることはきっちり主張したり、選手同士でも会話ができればもっとWROを楽しめるはずです。

この日の夜にはフレンドシップ・ナイトが行われました。会場に設置された様々なアトラクションを行い、ランダムに割り振られてたチームにごとに得点を競います。聞くと、このような フレンドシップ・ナイト の形式は初めてではないかと言うことです。こういった場面でも初めて会う選手同士で会話が弾めばより楽しめるはずです。WRO国際大会はロボット競技だけではなく、世界に出て活動することの大切さと、今後の彼らが必ず必要になるスキルを磨くことができる貴重な場でもありました。

もし3回目の競技もミスっていたら、 フレンドシップ・ナイト は全く楽しめなかったところでした・・・

明日はいよいよ競技最終日です。